健康な体の様子を正円形(〇)に例えるなら、病気のゆがみ方には「円から外側にはみ出すようなもの」と、「内側にへこむようなもの」があります。
円から外側にはみ出す『突出型のゆがみ』とは、モノが過剰になっている様子のことをいい、『へこみ型のゆがみ』とは、モノが足りなくなっていることをいいます。
『突出型』にしても『へこみ型』にしても、ゆがみの度合いが大きいほど重症なので、健康を回復させるために治療を必要とします。
『突出型のゆがみ』の漢方治療には、過剰な部分を削る瀉剤(しゃざい)をもちいます。これは、引き算型の治療です。
逆に『へこみ型のゆがみ』の漢方治療には、不足な部分を補う補剤(ほざい)をもちいます。これは、足し算型の治療です。
お血の治療薬を駆お血剤(くおけつざい)といいますが、『突出型のゆがみ』には
・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
・女神散(にょしんさん)
・桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
・通導散(つうどうさん)、などを用います。
生薬の大黄(だいおう)や黄連(おうれん)、黄芩(おうごん)、柴胡(さいこ)などを配慮し、石膏(せっこう)剤を組み合わせて、月経困難症や更年期障害にみるほてりや、イライラの治療を行います。
一方『へこみ型のゆがみ』に用いるそれは、
・四物湯(しもつとう)、と
それから派生した
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
・温経湯(うんけいとう)
・芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)、などです。
生薬では、当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)、芍薬(しゃくやく)、地黄(じおう)を基本に、呉茱萸(ごしゅゆ)、乾姜(かんきょう)、附子(ぶし)や柴胡以外の気剤を組み合わせて、冷えや抑うつの治療を行います。
この足し引きの考え方により、バランスの良い正円形(〇)のような身体精神状態にもちこみます。