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2023年5月29日 20:58

95. 婦人科疾患に漢方治療 熱お血2(加味逍遙散)

 熱お血は『血の塊が滞り、熱性成分がうっ積している状況』です。

 そして、これの充満度合いによって、「陽実証(ようじっしょう)」と「陽虚証(ようきょしょう)」に分けられます。

 「陽実証」は、病邪気が亢進している非常に強い病態をいい、一方「陽虚証」は病邪気の程度がそれほど強くない病態をいいます。

 

 前回までに紹介した桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は陽実証に用いるお薬ですが、

今回の加味逍遙散(かみしょうようさん)は陽虚証に用いる、そんな位置付けです。

・・・

 ちなみに加味逍遙散の構成は、

〇気(き)を調整する生薬(気剤)に

 柴胡(さいこ)が、疎肝解うつ(そかんげうつ)作用を

 山梔子(さんしし)・薄荷(はっか)が理気(りき)作用を

 甘草(かんぞう)・生姜(しょうきょう)が補気(ほき)作用を担っています。

 

 そして、

◎血(けつ)を調整する生薬(血剤)には

 牡丹皮(ぼたんぴ)・当帰(とうき)・芍薬(しゃくやく)を

 

  • 水(すい)を調整する生薬(利水剤)には

 朮(じゅつ)・茯苓(ぶくりょう)を、あてています。

・・・

  このお薬の特徴といえば、気剤が十分含まれていることです。

 主役の「柴胡」は、イライラ、精神神経症状を改善させることができます。これを「疎肝解うつ」といいます。

 

 そして脇役の気剤として、

  気を体内にめぐらす「理気」の生薬と、

  元気を作り出す「補気」の生薬が、

 協力しあい自律神経を調整します。

 

 これに「血」と「水」を調整させる生薬が含まれて、まるで当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)のような駆お血・補血剤の一面もあります。

 

 つまり加味逍遙散は、

お血を改善ながら、イライラを晴らす、神経過敏を落ち着かせる・・・

 これが更年期障害治療に用いられている理由なのです。

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