医療では、特定の病気が確認されないのに、体の不調をあれこれ訴えることを『不定愁訴(ふていしゅうそ)』といいます。
これは、月経や更年期のタイミングに重なることもしばしばです。
不定愁訴にみる症状とは、どのようなものがあるのでしょうか。例として、以下のようなものがあげられます。
(身体面)
・顔や体が急にほてる、のぼせる
・異常に汗が出る
・なんだか眠れない
・肩こりや頭痛を感じる
・体のあちこちが冷える
・グルグルめまいを感じる
・パニックのようなドキドキを感じる
・お腹がきゅっと痛む
(精神面)
・あちこちにイライラする
・急に不安を感じる
・気分が落ち込み、やる気が低下する
不定愁訴の場合、これらの症状が入り組んでおきることが特徴です。
その原因は
(1)血液循環が悪くなっている
(2)血液に含まれる物質の働きが悪くなっている
(3)自律神経が異常をきたしている
などが考えられます。
「血のめぐりが悪い」というと、一般的な西洋薬では、「血液をサラサラさせる」薬物などが思いつきます。しかしそれらは大抵、たった一つの成分だけで成り立っているため、たくさんある症状をいっぺんに改善させることはできません。
そこで漢方薬が用いられます。
漢方薬の構成単位といえる"ひとつの生薬"には、たくさんの成分が含まれており、始めから効能が多彩です。
さらに "ひとつの生薬"が、数種たしあわされてできているのが漢方薬なので、薬能は三次元的にひろがります。もちろん(1)~(3)の症状をまとめて寛解させる可能性も秘めています。
このような特性こそが、漢方薬の良さといえるのです。