西洋医学の良さは、原因がミクロレベルではっきりしている疾患であれば、焦点を定めたお薬によって、ドンと威力を発揮させられることです。
しかし原因が仮説の域をでない疾患の場合は、お薬が効果を示す場合と、そうならない場合の差が激しくなります。これは投与してみないとわからないことです。
人には、もともと体(体質)の強い方と弱い方がいるのですが、西洋医学ではその差をあまり重視していません。だから無造作にお薬が投与されると、体は疾患による場合より早く衰退していきます。これが医療否定論が持ち上がる理由のひとつです。
とくにがんや精神疾患、先進医療の領域では、この傾向が顕著であり、現代医療の未熟さが露呈する事態となっています。
東洋医学の良さは、いつも個々の体(体質)を意識し、調和をはかるように意図されていることです。だから、お薬によって体を停滞させるリスクを減らすことができます。
東洋医学で健康を大まかにとらえると、ゆがみのない円形でイメージされます。これが調和です。五蔵と「気血」、「陰陽」が整い、バランスをとっている姿です。
逆に体調の悪さとは、これらの調和が乱れていることです。ゆがみには、モノが過剰になり円の外に突出する変化と、モノが不足しへこむ変化の二つがありますが、いづれにしてもその度合いが大きくなるほど重大な病気といえます。
評価が感覚的であることが欠点ともいえますが、体全体を診るという発想が、西洋医学を凌駕している点だと思うのです。