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2019年5月2日 11:36

47. 検査でみつからない 頭痛

  多くの方の悩みになっている頭痛です。頭の痛む個所と原因により、おおむね分けて考えることができます。

 

・ 頭全体: 緊張性頭痛

・ 頭内: 脳内疾患

・ 前頭部: 三叉神経痛、群発頭痛

・ 後頭部: 緊張性頭痛、後頭神経痛

・ 側頭部: 片頭痛

・ 後頚部: 緊張性頭痛、肩こり

・ 両肩: 肩こり

 

原因は(1)精神的ストレス(2)筋肉疲労や緊張、血行不良(3)出血(4)神経ペプチドと血管の拡張・炎症(5)視床下部性(6)筋肉・血管・骨による圧迫(7)月経(女性ホルモン)

などによります。

これに頭痛の性質、つまり頭が締め付けられるように痛むのか、ズキンズキンと痛むのか、目・鼻・肩に症状を伴うのか、月経との関連性、などにより見分けていきます。

もちろん一度は、画像診断も検討されます。

 

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さてこれら西洋医学的な分析を尊重し、生薬や漢方薬をあてはめてみると、以下のようになります。

 筋肉の要素に、葛根、芍薬、人参、温補剤

 血管の要素に、利水剤、駆お血剤、滋陰・補血剤、温補剤

 炎症やむくみの要素に、清熱剤、利水剤、温補剤

 

ただこれに東洋医学オリジナルの考え方を合わせると、どうしても「陽証」と「陰証」の区別が大切になってきます。

 

ちなみに頭痛診療に東洋医学を重ねるメリットは、考え方の幅が広いため、西洋医学では対象外とされてしまった症状でもひろわれる可能性があることです。

たとえば、

・ 頭に帽子や頭巾をかぶっているような違和感

・ 頭の前や後ろに移動する痛み

・ 頭にモワッや、キュッとするような感覚

・ うなじを、"縦に"走る痛み

・ うなじから肩にかけて、"横に"走るような痛み

・ 頭の表面に冷たさを感じる痛み

・ 胃のあたりも固くなる頭痛

 

これらは西洋医学の検査では見つからないため、分類できない症状です。でも東洋医学では無視することはありません。

まずは各人の体質を知って対応すべく『舌、脈、腹』の状態をうかがい、どう導くことが適当かを判断します。

 

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 ところで漢方でいう『陽と陰』とは、「朝と夜」「男と女」のようなものです。しかし「白と黒」のようにくっきり分けられるものではありません。むしろ生物である人の体のなかで、その割合はしょっちゅう変化しています。 

 

ちなみに「陰」とは、手足が寒々、精神的な抑うつなど、「物静かで、活力の低下した様子」のことをいいます。一方「陽」とは、ほてりや発熱、気分高揚など、「激しく、活力の増している様子」のことをいいます。

 

陽証の頭痛に付随する症状は、

● 口が乾きやすい、水が飲みたい

● 尿が少ない

● 脈が浮数

● 舌が、紅色、無苔、乾燥した薄い苔

などであり、

 

陰証の頭痛に付随する症状は、

● 胃のあたりがつまるような膨満感

● 体のどこかがひどく冷える

● 脈が沈遅

● 舌は、淡白、湿った厚い舌、ギザギザ縁

などの状態です。

 

治療には原則として、陰証に「温めたり、潤したりする生薬」が、陽証に「熱を晴らす生薬」がもちいられます。

 

頭痛の漢方薬の代表には、「陽証に五苓散(ごれいさん)、陰証に呉茱萸湯(ごしゅゆとう)」がありますが、それを基本とし各々に合わせて、他薬や生薬への応用を考えています。

 

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