ヒクッ、ヒクッと突然起こるしゃっくり、
漢字では吃逆(きつぎゃく)、噦(えつ)といいます。
しゃっくりは、喉のあたりの刺激をきっかけに、連続的に息を吸いこんでおこる症状です。のどから胃あたりの刺激が脳に伝わった結果、意識に上がらない反射がうまれ、横隔膜をけいれんさせて生じます。(横隔膜とは、胸とお腹の境にあって呼吸運動を行う筋肉のことをいいます)
実は、そのあたりの内臓器はいろいろな刺激を受けやすく、たとえば冷たいかき氷やアイスクリームでも頭に響く反射がおこります。有名なアイスクリーム頭痛もその一つです。
ところでしゃっくりは、急に起こっても、びっくりさせただけで治まるものや、水をさっと飲めば済むようなものであれば問題はありません。
ただ1カ月以上も続くようなものもあり、睡眠や健全な精神に影響し、病院を訪れるきっかけになっています。
胃カメラやCT検査などを受けてみても、その原因は、脳の病気や強いお薬の影響以外に明確になりません。
漢方治療では、"自律神経と関係が密なのど元から胃のあたり"を調整するお薬を用います。一般の西洋医学でも胃薬はたくさんありますが、そのようなタイプのお薬は見当たりません。
代表格は、呉茱萸湯(ごしゅゆとう)です。これには、呉茱萸・人参という生薬が含まれています。
江戸時代の漢方名医 有持桂里(ありもちけいり)の口述医書「稿本方輿輗(こうほんほうよげい)」では、「吃逆は飲食からくるものが多いようだ。呉茱萸湯は、下利や熱邪や積などによる吃逆に良いが、病気を問わず用いても効果がある」と書かれています。
また「橘皮竹筎湯(きっぴちくじょとう)というお薬も飲食からくる吃逆に良い」と紹介されています。橘皮竹筎湯には、竹筎(ちくじょ)・陳皮(ちんぴ) ・人参という生薬が含まれています。
他に、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)に自律神経を調整する生薬を追加して用いることもあります。
これらは、本人の様子により使い分けているのです。