今回は、薬包のばらつきについてお話をいたします。
患者さんから、こんな質問を受けることがあります。
「薬局で14日分の煎じ漢方薬をもらったのですが、それぞれ薬包の重さも違うし、味も違っています。これで良いのでしょうか‥?」
実は漢方の煎じ薬は、処方箋にしたがって、14日分の各生薬を集め、専用の機械に乗せて混和した後、14ケの袋に分包しています。一度に分包できるのは2週分までなので、1か月(4週)分必要な場合は、この過程をもう一度くりかえします。
1日分の葛根湯を構成する生薬は以下ですが、この14倍の分量で混ぜていくのです。
カッコン 8.0g
マオウ 4.0g
タイソウ 4.0g
ケイヒ 3.0g
シャクヤク 3.0g
カンゾウ 2.0g
ショウキョウ 0.5g
このとき、生薬は総量だけ間違わずに、"ざっくばらん"と機械にまき、14包にし分けるため、1包に含まれる生薬にばらつきが出てしまうことがあります。
たとえば、ある1包には幾分生薬が多かったり、別の1包には少なかったり、少し中身が違えば、味にも差がでてしまうこともある、という具合です。
東洋医学は、はるか昔から伝わっているものなので、おおまかでアナログ的な要素がたくさん含まれています。
一方、現代の通常のお薬は、化学合成されたのちに機械で大量生産されるため、薬錠間のばらつきが少なくなるように設計されています。
そんな西洋医学と比べると、東洋医学のやり方に違和感が残るのも無理はありません。
しかし漢方薬の多少のばらつきは、想定の範囲内であり、おおよそ揃っていれば良しと考えるのです。