西洋医学では、患者さんに、心の問題が見え隠れするとすぐに「心療内科を受診してください」と言われてしまいます。
それは、どこの病院でも時間に追われているため、じっくり話を聞く体制がとれないことが理由の一つにあげられます。
しかしそれ以上に、西洋医学では「心と体」は必ずしも一つと考えられてこなかったという歴史があるためです。モトをたどれば、17世紀 フランスの哲学者デカルトの提唱した「心身二元論(しんしん にげんろん)」の影響を受けたといえるでしょう。
彼は、近代哲学の祖であり、医学を含む現代科学の根底にながれる思想を提唱しました。有名な「我思う、ゆえに我あり(コギト・エルゴ・スム)」の彼です。精神と肉体の二元性を唱えています。
その結果西洋医学では、体の病気にもとづいた精神病や不安症であっても、すぐに「精神科・心療内科でみてもらってください」と別物の扱いを求められてしまいます。
一方東洋医学では、「心と体はひとつ」と考えます。これを「心身一如(しんしん いちにょ)」といいます。これにより、精神性と体とは分別せず、むしろ両面性、相補性が重要視されます。
ですから治療も、(漢方)内科で、しかも一つの薬で、精神と体の双方が回復するようリードします。
はるか古い時代に基礎が出来上がった発想なので、人や物事のとらえ方が大きいことが特徴です。
西洋医学と東洋医学とでは、その優位性を論じるものではありません。いうなれば、この二つはアプローチの方法が異なるといえます。
ですから、西洋医学的な治療に難渋した場合は、東洋医学を利用してみるのもひとつの手といえましょう。