前回お話したとおり、自律神経の変化は、西洋医学では判断が難しいといえます。
それは検査が主である西洋の医学では、神経症状を引っかけにくいためです。
胸騒ぎ
これが病的な面を呈してくると、東洋医学では「心煩(しんぱん)」といわれるようになります。
胸のあたりが息苦しいような、もやもやイライラ...、痛みでもなく、脈の乱れでもない。
難しい言葉で表現すると、煩悶(はんもん)や煩満感(はんまんかん)となりますが、文字のごとく、この煩い(わずらい)は、人を神経質にさせてしまいます。
では一般の病院で、これを相談するとどうなるのでしょう。
病院では、病気の見逃しを避けるため、心臓や肺、胃食道の検査がなされます。
それはもちろん悪いことではありませんが、ただ往々にしていきすぎた検査まで行われてしまいます。
その結果、何にもみつからないと「あとはかかりつけで診てもらって・・」とつき放されてしまいます。
そして当の本人は、「ありがとうございました・・・」と帰ってくるのです。
しかし改めて考えてみると、症状について何も助言を受けていません。そのため手間と時間とお金がかかったわりに、解決されていないのです。
「心煩」は、 東洋医学の動悸「悸」に近い表現ですが、自律神経症状なので理解されにくいものです。
こんな時、この医学では小柴胡湯で対応します。これは柴胡剤というグループの筆頭にあたいするお薬で、派生する薬もたくさんあるため、症状の重さに応じ使い分けていくことができます。そうすると、意外にも症状が緩和されてきます。
西洋でも東洋でも、症状には原因があり、その対応を検討することが大切です。でも西洋医学では専門診療という名目のもと、つき放されてしまったり、別の話にすり替えられたり、残念な一面があります。
私はたまたま、両者にまたがる医師であるため、それぞれの長所と短所が見て取れます。
もしあなたが「気のせい」と言われ悩んでいるのであれば、漢方の力にゆだねてみるのもよいでしょう。