・目のけいれんとは、まぶたがピクピクしてしまうことです。医学的には眼瞼痙攣(がんけんけいれん)といいます。
症状はいったんおこると、なかなか止まらないので、病院に相談においでになられます。でも目の周辺のことなので眼科受診をする方や、内科では神経内科を受診する方も多いようです。
それらの科では、目の検査、頭の検査、採血などが行われます。もしそこで原因がはっきりするようなら、治療方針も定まり安心です。
でも、中には対処が難しいケースもみられます。
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・東洋医学では、これを「肝気うっ結(かんきうっけつ)」ととらえます。肝(かん)は、"ストレス"と考えられるものですが、今から2000年前の中国で書かれた「黄帝内経(こうていだけい)」という医書に、「目の異常は、肝に端を発する」と書かれています。
精神疲労を重ねると目がかすむ、といった症状ですが、はるか古い時代の医書に記載のあることに、いつもながら驚かされます。
そんな精神的なストレスが強く関わって気持ちがうっ積した状態を「肝気うっ結」といい、イライラや自律神経の失調症が現れてきます。
もしあなたにイライラばかりが募るようであれば、「肝気うっ結」といえるのかもしれません。目のけいれんは、そんな気持ちの余裕ない方に生じやすいものなのです。
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・そこで治療薬に「疎肝解うつ剤(そかんげうつざい)」が用意されています。これには生薬の柴胡(さいこ)が含まれるため、精神の安定作用が期待されます。
とくに「①四逆散料(しぎゃくさんりょう)」は、際立った調節力を発揮します。
この四逆散の特質は「②芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」というお薬が含まれていることです。
もともと芍薬甘草湯は、足のこむら返り(けいれん)のお薬として有名なのですが、こわばりの開放は、どうも筋肉だけではなく、心にも作用するようです。
四逆散は、それに柴胡と枳実(きじつ)がブレンドされたお薬ですから、その効能は抜群です。
そして他に「③大柴胡湯(だいさいことう)」や「④抑肝散料(よくかんさんりょう)」、「⑤加味逍遙散料(かみしょうようさんりょう)」などがあり、体力や神経高ぶりの程度によって使い分けられています。もちろん、検査でみつからない目のけいれん治療にも重宝されています。
◎疎肝解うつ剤の見合うのは、このような方々です。
いつも、イライラしている
いつまでも、ウジウジしている
発作的に怒ってしまう
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・ところでこの四逆散にみる分類ですが、実は明治初期の「勿誤薬室方函口訣(ふつごやくしつほうかんくけつ)」という医書の中に書かれています。
これは、浅田宗伯(あさだそうはく)という漢方医の書なのですが、その名医の名は現代も「浅田飴」というのど飴に残されていますので、ピンと来る方もいらっしゃるかもしれません・・・