お腹のこわばりとは、たとえば
お腹が張る
お腹が痛む
などの症状をいいます。これは正式な表現ではありませんが、漢方薬を求めおいでになられる方々は、そう話されます。
漢方の世界では、そんなお腹のこわばりを取るお薬が用意されています。
・大建中湯(だいけんちゅうとう)
まず用いられる基本のお薬には『大建中湯』があります。
大建中湯は、"お腹が冷えてガスがたまり、膨満感のある方"のお薬です。エキス剤では100番と印字されているため、数字で表現される方もいらっしゃいます。
このお薬には乾姜(かんきょう)という生薬が含まれ、これが胃腸をきっちり温めて働くよう促すので、お腹の張りを除くことができます。
この乾姜とは、ショウガの根を蒸して乾燥させたものをいいます。
ただ患者さんの中には、この乾姜に苦みを感じやめてしまう方もおり、その場合は、煎じ薬に変更し「乾姜」から「乾生姜(かんしょうきょう)」に切り替えて用いることもあります。
ちなみに乾生姜は乾姜と同様ショウガの根なのですが、生を乾燥させたものをいいます。蒸していません。胃腸を温める作用は減りますが、苦みを減弱でき胃腸の保護薬として用いることができます。
そしてもしもこれでも胃に障るという方には、この量を減らしたり、除いたりして調整します。
ところで、これらはスーパーで売っている生姜とは異なります。生姜は生のショウガのことをいい、蒸したり、乾燥させたものではありません。これを各自すって混ぜることはできますが、日本では薬として用いることはできないものです。
・中建中湯(ちゅうけんちゅうとう)
さて症状の治まりの悪い方には、もう一工夫必要となります。そこで、大建中湯に小建中湯(しょうけんちゅうとう)とを合わせた『中建中湯』というお薬があります。
こちらは、"一層お腹が冷え、強く膨満のある方"のお薬です。大便が快通せず下剤を用いるとお腹がしぶり、痛くなってしまうような超虚弱な方が適合します。
特にお腹の痛みの強い方には、大建中湯や小建中湯に含まれる膠飴(こうい)という甘い飴成分を足し、それ程痛みのない方にはこれを除いて処方します。